「ウサギと行く春の京都旅④ 縁よ来い、美濃焼きに包まれて」
魔王殿の横に「600Mで貴船神社」という標識をを見つけて、さらに山を分け入る。
さっきと違いほぼ下り道なので楽といえば楽。それにしてもやたらと捻れに捻れまくった木々の数々が気になる。
「これってやっぱり霊的なパワーでこうなったのかな?」とウサギに尋ねるも帰って来たのは「ツイストドーナツが好き!」というあまりにウサギらしいコメントだった。
なんだこのモフ獣は。
数十分ののち、無事、貴船神社に到着。
ずっと山道だったので車道を目にした瞬間、安堵の気持ちがこみ上げる。
貴船神社は水神様を祀った神社で、縁結び、また、丑の刻参りで有名。
こちらもやはりパワースポットとして有名だ。
再度手水をして、本宮に参拝する。
「どうか、素敵なご縁をどうか…」と割と本気でお祈りする私(33歳)にウサギの冷ややかな目線が突き刺さった。
水に浮かべるとおみくじが浮かび上がるギミックが楽しい、水占みくじをせっかくなのでやって見る。「中吉」。
毒にも薬にもならない当たり障りのない結果だったので敢えて書くのは止す。まあ、それが一番なのだけど。
さらに奥にある奥宮にも参拝する、なんでも貴船神社のなかでもかなり高いパワーが出ている場所らしい。社の下に誰も見ることのできない龍穴があるらしい。
すごい、穴からパワーがじゃんじゃんばりばり溢れている、気がする。
「パワースポットなんかで本当にパワーが手に入るわけないじゃんか、ほんとキュー介はぶらり女子旅OL紀行」と憎まれ口を言っているスキウサギの様子がパワーのせいで明らかに変だったがそこはあえて突っ込まなかった。
山を降りて駅にたどり着く頃にはウサギがもとのウサギに戻っていて内心ホッとした。
時刻は12時、考えてみたら私は朝から何も食べていなかったし、朝からの登山下山で足はガクガクブルブルータス状態だ。
さて、何を食べたらいいのか考えるのも歩き回るのも、検索するのもめんどくさい。
とにかくまずは休息をとって落ち着きたい、そこで我々は京都にあるスーパー銭湯「さがの温泉 天山の湯」に行くことにした。
私にとっての癒し場所それはサウナと水風呂のある場所を指すのである。13時頃に目的地に到着。郊外によくあるスーパー銭湯然としたスーパー銭湯。入館料一般1050円、都内に住む者からすると良心的お値段である。
しかし、空腹も限界、私は普段スーパー銭湯の食事処は利用しないタイプの人間だが、この日の私はスキウサギがマカロンに見えるくらいに餓えていた。
入店するなり、1600円の「のどぐろ御前」の大盛りを注文する。
あまりに空腹で食したので、味がどうだったかを思い出せない、嵐のように飯を頬張った記憶だけはある。
とにかく空腹はまぎれた。
横でスキウサギはクレミアをぺろぺろしていた、それを払うの誰だと思ってんだ。
浴室は天井も高く、京都らしい調度品なども置いてあり素敵だった。
とくに竹製の椅子が気に入った。
テレビを囲む半円状のサウナ、特色は30分おきに水が自動的に流れて、熱い石に注ぎ込み、水蒸気で温度がぐっと上がる自動ロウリュシステムだ。鯉の滝登りのオブジェが印象的だった。
始まったばかりの甲子園をぼーっと眺めながら、サウナと水風呂を行ったり来たりする。水風呂はなかなか深くてグッド。
外に設置された美濃焼き壺湯がなかなか気持ち良かった。なんでも美濃焼きから遠赤外線が出ているらしい。「赤外線出てますよ」と言われると、やっぱり出てる気がするし、あったまった気がしちゃうのが人情。
いい感じにあったまった我々は風呂から上がることにした、ところでスキウサギが風呂上がりに犬みたいに体から尻尾までをプルプルさせるのを初めて見た、こんな習性があったのか。
まだまだなぞが多いウサギだ。
つづく。次で最後。