「ウサギと行く4泊5日広島旅行~3日目「呉灼熱!鋼鉄クジラと配られた氷」前編~」
三日目はかつて軍港や工廠などで栄えた呉へ行く。
10時到着。気温36度…、この日もカンカン照りで猛烈な残暑だ。外にいるだけで汗が湧き出てくる。
呉駅から脇目も振らずに「大和ミュージアム」に行く。
大東亜戦争時の軍艦や兵器、呉にまつわる歴史的な遺物の数々が展示されている。昭和史マニアの私としては「山本五十六直筆の書」やら「南雲忠一の所持していた軍刀」などが見れて幸せだった。
また、特攻兵器、人間魚雷の「回天」搭乗員がレコードに遺した肉声が印象的だった。
大和ミュージアムに訪れた際は是非聞いてほしい。ボタンを押すと流れます。
戦艦大和の10分の1模型も立派なもので、巨大なバルバスバウの前に立って思わず「バルバスバウ」(船首の下の丸い部分のこと)と言ってみた。言いたくなる語感があるのだ「バルバスバウ」。
子供が母親に「これにほんのふね~?」と尋ねていて微笑ましかった。
ウサギの姿がさっきから見えないと思ったら、土産物などを取り扱っているミュージアムショップで大量の買い物をしていた。なるほど大和やら零戦やらにまつわる様々なグッズが所狭しと並んでいて、そのバリエーションの豊かさは確かにすごい。
しかし、土産物に関しては吝嗇家の私は「呉」と刻印された600円のスプーンをひとつ買っただけだった。(というかこの長旅を通して買った唯一のおみやげがこれだけであった。)
このスプーンでカレーを食べればバーモントだろうがジャワだろうが、カレーの王子様だろうがみんな「海軍カレー」なのだ。
「大和ミュージアム」をあとにした私は絶望的な空腹を覚える、なにしろ今朝は朝食を食べていないのだ。
飢えた狼のような形相の私の眼前に「海軍カレー」の文字が飛び込む。「大和ミュージアム」の隣の「ビーコン」という名の洒落たレストランに迷うことなく入った。
私とウサギはちょっとお値段のはる「士官の海軍カレー(大盛り)」とアイスコーヒーを注文。カレーの上に鎮座した柔らかいタンと飯に刺さった旭日旗が印象的だった。
美味しかったがカレーはやはりカレーだった。
「これが士官用なら長官用カレーはどんなんだろうね」とウサギ「軍楽隊の演奏付きなんじゃない?」と私は返したのだった。