人生初の大腸内視鏡検査
先週、血便がしばらく出た。ここのところ腹痛をともなう下痢も多いため、大事をとって近所の病院で大腸内視鏡検査を受けることになった。
二日前から消化に悪い食べ物には気をつけて、検査を受ける前日は飲酒禁止。
当日は絶食にて、朝から2リットルの下剤を飲んで便を透明にする作業に勤しむ。
この液体がまずい。
スポーツドリンクに梅の汁と透明な醤油を加えたようなもの。
これをしかも少しずつ飲むという苦行が始まった。
分霊箱の眠る洞窟で貝を使って、ちびちびと毒薬を飲み干したダンブルドア校長の気持ちがよくわかった。「もういやじゃ」「ハリーやめてくれ」とぼやきたくなるのも頷ける。
ウーロン茶のチェイサーに救われながらなんとか飲みきり、便は鬼怒川のような清流と化した。(地元愛)。
いざ、病院に着くと、お医者さんの問診を受けて、おしりがぱっかーんとなる服に着替えて、診察台に寝かされ、おばあさん看護婦のいうには「ぼーっとしちゃう薬」を点滴で打たれた。
それはありがたい、ぜひぼーっとしたい、いや、むしろ気を失いたい。
そんな想いとは裏腹に、大してぼーっとしないまま我が腸に漆黒の管がこんにちはしてきた。むしろこっちはギンギンである。
痛い。
すっごく痛い。
「イダダダダ!」と痛いアピールをすると、何やら先生が指示を出し、さらなる「ぼーっとしちゃう薬」を追加してもらえたような気がし、後半は痛みが和らいだ。
20分ほどで終わり、意識がはっきりするまでベッドに横にされるが、そもそもそんなにぼーっとしていない(したかったのに)、10分後くらいに看護婦のおばあさんが様子を見に来たので、もう、大丈夫な旨を伝えると、待合室で待つように言われる。
そこには「患者さんへお疲れ様でした。お茶をお召し上がりください。」という書き置きを抱いた耳が星でできた黒い熊とともに、ほうじ茶とビスコ2個と飴3個が置いてあった。
もともと間食はしない人間なので、無視を決め込むとさっきの先生に呼ばれ、検査結果を聞いた。
まず、痔がある。それと、腸のなかのいたるところにアフタ状の潰瘍が見られた(口内炎みたいなやつ)これがビジュアル的にかなりくるものがあり、いささか衝撃を受けた。
癌などではないしポリープもなかったが、念のため細胞検査と検便をすることになった「クローン病」という病の恐れもあるからだそうだ。
検査結果待ちではあるが、来年またこの検査を受けるときは「ぼーっとしにくい体質なので、よりぼーっとできるように、ぼーっと率高めでお願いします」とあのおばあさん看護婦に言おう。
拳を握りしめながら直立不動で。