「ウサギと行く春の京都旅② 高台寺ペロザリ歩き、遥かな会津藩」
時刻は17時、徒歩で祇園にある八坂神社に到着。
さすがにしんどい。
何かの縁日をやっているらしく大変賑わっていた。
参拝を済ませると毛玉くんが
「屋台が好き!」
といなないたので仕方なくお好み焼きっぽいものを棒に巻きつけた「はしまき」なるものを買って食べた。ソースの甘じょっぱさが疲れた体に沁みる。
さらにりんご飴を買って、ウサギとペロペロザリザリしながら、なんとなく坂道を登った。
ふと、顔を上げるとそこに御陵衛士の屯所跡があって驚いた、御陵衛士といえば新撰組と袂を分かって分離し、さらにその後、局長近藤の陰謀によって壊滅させられた悲劇的集団。
この門を伊東甲子太郎や東堂平助が通ったのかと思うと、興奮して「奸賊ばら!!」と叫んでしまいそうになる(伊東甲子太郎最後の叫び)。
その後、なんとなく豊臣秀吉の正室、北政所(ねね)ゆかりの寺である高台寺に参詣した。NHKのあらゆるドラマのお陰で私のねね印象はかなり良い。
そこにある開山堂の天井には極彩色の天井画、説明によると「秀吉の御座船の天井を使用した」とある。
この絢爛たる天井をかの天下人も見たのかと思うと心に迫るものがある。
桜が美しい庭園ではうっすらと光のようなものが移動している、まだ日があってわかりにくかったがどうやらプロジェクションマッピング的なことをやっているようだった。
そのままで十分美しい景色なのに…、侘び寂びの利休が見たら「御無体な!!おやめくだされ!!」と止めに入りそうなものだけど、そこを曲げて派手派手な演出をしてしまうのもいかにも秀吉らしくて良かった。
それに出口付近の竹やぶが良かった。
私は竹やぶが好きなのだ。
なんで竹やぶってあんなに落ち着くのだろう。「全体的に緑色だからじゃない?」とウサギに言われて、ああ、そんなとこだろうなと納得してしまった。
そして、いよいよ疲れと空腹がピークを迎えた我々は、徒歩をやめて人類の叡智の結晶「電車」を使って京都駅に戻った。もう日もすっかり暮れた。
駅ビルの10Fにある拉麺小路という日本中の美味いラーメンが集まった汁池麺林を訪れた。
しかし、近年のラーメン人気からかそこは様々な国籍の外国人による、長蛇の列で満ち満ちている。そのとき
「並ぶのきやい!」とウサギが喚く。
このままではスキウサギが暴れだしそうなので、とりあえず、すぐに入れそうなラーメン店にそそくさと入店した。
「福島喜多方ラーメン 坂内食堂」。
京都に来てなぜ喜多方ラーメンなんだ?
キューライスは気でもおかしくなったのか?
ランニングウェアでラーメン屋に入るのって、ダイエットできないダメ人間みたいで恥ずかしくないの?
という読者のシュプレヒコールが聞こえて来そうではあるが、考えても見て欲しい、八木邸、御陵衛士、ときての福島である。
福島といえば会津藩、会津藩といえば新撰組の主君的な存在、ほらね?と、自分を言い聞かせ、あっさりしたあたたかいスープを啜った。
うめぇ。
チャーシューが非常に美味しかった。
そのとき「僕が食べてあげゆね」といいながら私のどんぶりのチャーシューを2枚スキウサギにペロリと盗み喰いされて、殴り合いの死闘が巻き起こった。
「人が大切に最後のほうにとっておいたチャーシューを!お前はっ!」
「そんなことだからいつまでたっても独身なのさ!プアボーイ!!」と言い合いしながらホテルに戻った。
小浴場(この日大浴場は女湯になっていた)でひとっ風呂浴び、原稿を描き、アルコールを摂取して、12時に寝た。
たのしい。
つづく。
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