キューライス記

1985年生まれの男。漫画、イラスト、アニメーションなどを描きます。お仕事のご依頼はこちらのアドレスにどうぞqraisqrais@gmail.com。       キューライス制作の短編アニメーション「鴨が好き」公開中https://www.youtube.com/watch?v=48-RA4BNXVc

スター・ウォーズ 最後のジェダイ

昔に比べて、映画の感想をここに書かなくなってしまった。

それというのも、毎日更新するための4コマ漫画や連載漫画の原稿に追われて、映画館に足を運ぶことがほぼできないからだ。

ならばレンタルでとも思うが、作業しながら観るものだから80パーセントは音しか聞いていない(故に日本語吹き替えでしか観ない)。

 

だから、最近私が映画館に赴くのは、心の底の映画大好き魂が目を覚ますほど、期待に胸を焦がす作品のみなのだ。

そこで今回の「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」だ。

2017年はこれさえ見れればいい、とさえ思っていたほどの期待値。ライトセーバーの字幕が「電光剣」だった頃から「スター・ウォーズ」好きのおあにいさんであるキューライスは朝の8時の回を新宿東宝シネマズのIMAXで鑑賞しに行った。(ウサギもついてきた

 

 

 

以下ネタバレあり。映画未見の人は見ないでください。

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宇宙なのに爆弾を投下する、ありがちな自己犠牲的見せ場作り、ハイパードライブ特攻のチート級の威力…、いろいろと首をかしげる展開の連続に辟易したものの、やはりマーク・ハミル演じるルーク・スカイウォーカーが登場するとぐっと画面が引きしまる。

結局オールド・スター・ウォーズ・ファンの興味の行き着く先は伝説となったルークがなぜ隠遁生活をし、カイロ・レンの指導をどう誤ったのか、そこにしかないのだ。

 

ルークが失望と挫折から戦いを放棄したというのはわかる。

でも、父親であるダース・ベイダーの善の心を信じきり、皇帝の面体にライトセーバーを投げ捨てたあのルークが、弟子で甥のベン・ソロの中に深い闇が見えたからって剣を抜くだろうか、しかも寝込みを…。それならそれで、カイロ・レンのそこしれぬ闇を観客に見せなきゃならないのに、そういった描写はほとんどない。

 

確かにルーク師匠の裏切りはレンがダークサイドに堕ちるきっかけとしては、アナキンの妻が死んだことと並ぶくらいショッキングなことだけど、それにしてももうちょっと丁寧な描き方はできなかったのだろうか…。

 

グダグダな中盤のカジノ惑星へのリクルート旅行、あれが一番納得できなかった。

胸につけた花の飾りが目印のコード破りの名人を探しに行き発見する→しかし牢獄に入れられてしまう→牢獄にたまたまいたデルトロが「俺もコード破りできるよ」と言いだす→「もうこいつでいいや」と連れ出す→コード破りできる…、この流れ…、

 

これでいいの?

じゃあ、最初にちょっと出てきたコード破りの名人はいったいなんなんだ?

デルトロの胸元にもなにかしらの花の飾りがあるのかと思ったら、それもないし…。

物語として破綻してませんか…?

 

しかし、新世代の主役である、レイとレン(並べるとややこしいな)はとても良かった。レイのいかにも生命力に溢れた健康的美しさは健在だし、カイロ・レン役のアダム・ドライバーも様々な役を演じてきて厚みが増したように感じる、なにがしたいのかよくわからないカイロ・レンにもある程度の魅力を与えているのは彼の演技の力だろう、それになぜか筋肉もすごい

あのダサいマスクを早々にぶっ壊したのは正解だったが、だったら最初から素顔でシス活動しておけばよかったのに。

 

ところで今回はフォースの拡張能力も気になってしまった、遠く離れたおそらく血も繋がっていない相手と話し合い触れ合うことができる、宇宙空間に投げ出されても平気、遠く離れた惑星に自分の分身を送り込む…。とくにレイアがあそこのシーンで助かる必然性があっただろうか…。

霊体ヨーダの雷ドーンは、まあ、フォース=自然と一体化しているからこそできる半分偶然な御技なのだろうけど。

そのうち、フォースでバリアを張ったり、透明化したり、時間を止めたりしないか冷や冷やする。

 

最後の感動的な決闘も、あれで本当によかったのだろうか。

Xウィングを海底から引き上げて、駆けつけて、生身で弟子とぶつかり合い、語り合い、そして、オビワンのようにフォースと一体化するべきだったんじゃないか?

あれではドローンで戦っているようでなんだか肩透かしをくらってしまった。あの本来なら感動的な夕日のシーンで涙が出なかったのはそういう疑念でいっぱいだったからだ。

 

なんだが、悪口ばっかり出てきて、自分でも驚いてしまった。

 

今回の映画で良かった点としてあげるのであればそれは、レイの親がオビ・ワンでもルークでも、ましてやパルパティーンでもなく、ジャクーの名もなき人間だったところだろう。

これはそれまでスカイウォーカーの血脈を主人公に置いてきたスター・ウォーズ・サーガでは異例のこと、「フォースの力が強い家系」という理由付けもなく、強いフォースを持つ者の存在は、「もしかしたら僕もフォースが使えて、すごいジェダイになれるかも」という夢を子供達に与えてくれることだろう。

 

映画は子供に夢を与えてなんぼだ。

 

かつて「エピソード1」にてミディクロリアンという謎な設定を作ってしまった事を払拭させてくれたように思った。

 

しかし、古いものを捨てて、新しい一歩を踏み出すという意気込みには賛同するけど、古いもの(ルークの人格)を失墜させてしまうのはちょっとどうかと思ってしまった。

 

スキウサギの感想はこちら↓

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