ウサギと観た劇団四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」
2月1日、私とフェム化したウサギは雨のそぼ降る京王多摩センター駅に舞い降りた。
目的はパルテノン多摩にて劇団四季の「ジーザス・クライスト=スーパースター[エルサレム・バージョン]」を観劇するためである。
しかし、そこは心配性で神経症なキューライス、開場3時間前に着いてしまった。
「サイゼリアが好き」とウサギがいなないたので、パルテノン多摩の前にあるパルテノンサイゼリアに入店した。
ズビズビとパスタやピザを吸いまくるスイウサギを横目に私は「シンデレラ」の下書きを8枚描き終えた。
「こんなハッピープレイスでも仕事をするなんて、ほんとにキューさんは唐獅子牡丹だ」とウサギの奴がわけのわからないことを言ったが無視した。
さて、いよいよ観劇である。「ジーザス・クライスト=スーパースター」と出会ったのは高校時代、レンタルVHSで映画版のそれを観たのだ。作詞の権化ティム・ライスが作詞し、作曲の巨神アンドリュー・ロイド・ウェバーが作曲を手がけ、1971年にブロードウェイで初演された。イエス・キリストの最後の七日間を題材にしたロックミュージカルだ。
斜めにそそりたつ一面の荒野が舞台となる、それを観てウサギが「土だ」と言ったが、だからなんだ。フェム化したスキウサギを胸の高さに保持しての観劇となった。
ジーザス・クライスト(神永東吾)が人々の前に姿を現し、ユダ(芝清道)がキリストへの疑いを歌い上げ、幕が開いた。このジーザス演じる神永さんのお顔立ちがかなり整っていて、神々しいレベルまで昇華していて素晴らしかった。
かなり年季の入った芝ユダは55歳…!見た目の感じが「ユタと不思議な仲間たち」のペドロっぽいとずっと思っていたら、やっぱり出演していらした。ユダの複雑な心情に痛切に感じ入る。
群衆をひとかたまりになったアンサンブルが面白かった。矢印になったり、手を振ったり、渦になったり変幻自在だ。ラボ時代のテーマ活動を思い出す。
あとカヤパの「私は悪役です」といった具合の隈取りや、悪っぽい帽子が印象深い。
「ジーザス・クライスト=スーパースター」私が一番好きなのが「最後の晩餐」から「ゲッセマネの園」なのでその場面になると脇汗がじわりと滲む。
特に「ゲッセマネ」はこの舞台の一番の見どころだと私は思っている。そして、神永さんのそれは最高でした。最高も何も、生で観たゲッセマネはこれが初ゲッセなんですが、とにかく良かった。あのファルファルとしたファルセットボイス…。
私はしばらくお風呂ではゲッセしながら湯船に浸かろうと心に誓う。
それから次に私が大好きな「ヘロデ王の歌」。連行されたジーザスに王様が「水をワインに変えてごらんよ、そしたら釈放だ~♪」とご陽気に歌う。ノリはさながら「キャバレー」だ。
そして、ヘロデ王(阿部よしつぐ)は本当に素敵だった。
映画の影響か私にとってヘロデは小太りのご陽気なおっさんだったのだが、この舞台のヘロデは中性的ですらりとした、金ピカピカに着飾った王様なのだ(瞼もピカピカ)。
良い。
なんだか良い。
激昂して失神しそうになる感じも含めて、すごく良いヘロデだ。
もし、私が「ジーザス・クライスト=スーパースター」に出演する羽目になったら是非ヘロデ王になりたいものだ。
ピラト提督(村俊英)の「ピラトとキリスト」、「ピラトの裁判」の熟練した迫力も素晴らしかった。ピラトが手を洗うと、逆に手が血に塗れる演出が印象的だ。
そして、ジーザスは十字架を背負い、パンクロックの衣装身を包んだ、ユダが現世にカムバック、ノリノリで「スーパースター」を歌い上げる。一番凄惨なシーンで一番ノリの良いサウンドが響く、この感じが不思議だ。
そして、ジーザスは磔にされて、星が瞬き、静かな旋律で「ゲッセマネ」が流れ、ゆっくりと暗転して終劇となった。
素晴らしい舞台でした。鳴り止まない拍手(手拍子)、最後は観客総出のスタンディングオベーションとなった。
やっぱり舞台は良い。
役者と観客の間に空気しかないのが素敵ではないか。膝の上のスキウサギも「香油が好き!」と訳のわからない部分に食いついている。
外に出ると、すっかり夜になっていて、雪がちらついていた。私は各駅停車に乗ってゆっくりとこの文章を書きながら帰路につくのであった。
スキウサギのテンションは家に帰っても下がらなかった。
あ、今日の4コマ漫画は今から塗るところなんで少々お待ちを。
↓映画版。
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