「ウサギと行く横浜・八景島日帰りの旅⑦~万葉倶楽部来訪期、サウナ編~」
みなとみらい駅から降りて五分の海沿いのビルにスーパー銭湯「万葉倶楽部」はあった。
エレベーターで7階に上がったところがフロント。平日の午後だというのにそこそこのお客さんで溢れている。
気もそぞろに鍵を受け取ると、館内着を取り、更衣室へ向かう。フェイスタオルやバスタオルは備え付けてあって、使いたい放題。気分はお大尽である。
いけない、初対面のスーパー銭湯に心が舞い上がりすぎて己を見失っている、ささっと服を脱いだ私は掛け湯をしたのち、全裸で歯を磨く。歯を磨くことで未だクレープの甘さの残る口内をリセットし、ついでに心もリセットしようという算段なのだ。
すっかり心を落ち着けた私はあらためて浴場を観察する。なかなか広々としているし、半円状にずらりと並んだ大窓からは外光が気持ち良く取り込まれていて軽やかな雰囲気、しかし、都内のスーパー銭湯にありがちなことだけどやっぱり天井はあまり高くなかった。
最近のスーパー銭湯はあまり重視していないようだけど、本来銭湯というものは天井が高くなくてはいけないと思うのだ。
そうこないと開放感が生まれないし、なによりあの漫画やアニメ特有の「かぽーん」というサウンドも聞こえてこないというものであろう。
私とウサギはさっそくサウナに洒落込む。
ここ万葉倶楽部では低温ドライサウナ、塩サウナ、ハーブスチームサウナ、ハーブサウナの四つのサウナが楽しめるのだ。私は一番温度の高いハーブサウナに入室した、ちょうどロウリュウサービスが行われている最中で、さっそく私とウサギも巨大な団扇で熱風を送ってもらった。
以前訪れたラクーアの本格的なそれと比べると見劣りするものの、やはり汗をかく。タオルを使って扇ぐスタッフがなんどもスプリンクラーにタオルを引っ掛けていたのが妙に印象に残っている。
テレビも設置されていて一安心。サウナでテレビを眺めるに越した喜びはない(CMが楽しいのだ)、自分の限界が近づくとサウナを退室し、水風呂に向かう。
汗を手桶で流してから身を冷水に晒す(ちなみに汗を流さずに水風呂に入る輩は魂のレベルが低いと思う)、
気持ちいい…
痺れるような快感が血管という血管から全身へ伝達していく。
しかし、水風呂を囲うように塀が立っていて少し閉塞感を感じるし、深さも足りない、普通といえば普通の水風呂といったところだろうか、やはりこれもラクーアの深々とした水風呂に軍配が上がるが、決して欲は出すまい。
平日の午後にサウナと水風呂に入れる、それだけで私は新品の外套を羽織ったアカーキイ・アカーキエウィッチのように幸福なのだから。
その後、サウナと水風呂をなんども行き来する、熱しては冷ますの繰り返しはさながら刀鍛冶である。
喉が乾くとアルカリイオン水で喉を湿した。アルカリやイオンが何者でどういう事をするのか明確にはわからないが、何が良いってタダなのがいい。口を近づけて飲むタイプのウォーターサーバーでなはなく、紙コップで飲むタイプなのが軽い潔癖性の私としてはありがたい。ナイス気配り、万葉倶楽部。
つづく