ウサギと行く東京ディズニーシー④〜謎船長の地底穴とウサギの嫉妬震え〜
魔宮から命からがら脱出することに成功した私のとウサギ。
さっき取得した「センター・オブ・ジ・アース」のファストパスの時間になったのでミステリアス・アイランドへ向かう。
ジュール・ベルヌの小説を題材にしたこのテーマポートはミステリアスな男、ネモ船長の秘密基地だ。
ネモ船長はこの島でいろんなことを研究したり、海底に潜ったり、飛んだり、穴を掘ったり、潜水艦の体当たりで船を沈めたりしているのだ。
謎に包まれた男…
「ネモ」というのも本名ではないという説もある、だから、もしかしたら本名は「根本さん」なのかもしれない…。
そんな船長の研究室を突っ切るようにして歩を進め、テラベーターと呼ばれるエレベーターに乗り込み、一気に地底800メートルまで降りていく。
地底のベースステーションにはたくさんの人々でひしめいていた、
「地底の底まで観光せずにはいられないなんて、ホモサピエンスはなんて強欲な哺乳類なんだ」とウサギが呟く、さっき両手にターキーレッグ持ってモグモグやってた奴の言う台詞か。
地底走行車に乗ると、そこには幻想的な美しい地底の世界が広がっていた。
細かくは説明しない、是非今度乗っていただければと思う。
突然、現れた地底の怪物に急襲されて、猛スピードで脱出したりなんてことは絶対に起きないので安心してもらいたい。
ミステリアスアイランドを出た我々はなんの目的もなしに何気なくまたアメリカン・ウォーター・フロントに戻っていた、時刻は11時40分。
すると偶然、新しいお友達ステラ・ルーの「グリーティング・ドライブ」が行われていた。
オープンカーに乗ったミッキー、ダッフィー、そして、ウサギのステラ・ルーがゆっくり移動しながらこちらに手を振ってくれていた。
健気な感じがすごく可愛い、ふと横のウサギを見るとガタガタと小刻みに震えながら両手を固く握り締めていた、
「おウサギ様のお車が通るぞ…おどきさっしゃりまぁせぇぇ」とブツブツ呟くウサギの影がいつもより黒く見えた。
12時をまわった頃、我々はリドアイルという離島に行き、クッションを敷くとそこに座り、二時間ほどひたすら待機する。
14時に開催されるハーバーショー「ファッショナブル・イースター」を見るための待機である。
「ちょっと御手水に行ってくる」とウサギが席を立った、私は半藤一利の「昭和史残日録1926」を紐解く、東京ディズニーシーで読むのはあまりに場違いな本だが、昭和史は面白い。
しばらくして戻って来たウサギはどこで買ったのか、ジェラートのバニラ味をペロついていた、もちろん私の分など無い。
「シーで昭和史の本なんて読んでる奴はサッカリンでも舐めてればいいのさ」と吐き捨てるように言われた。
「ファッショナブル・イースター」は色とりどり、4タイプのダンサーさんたちの衣装が華美で素敵だった。
一瞬だけど大好きなハリー・ベラフォンテの「ジャンプ・イン・ザ・ライン」が編曲に組み込まれていて嬉しくなった。
脳裏に映画「ビートルジュース」で披露された、ウィノナ・ライダーの空中ダンスがよぎる。
可愛いくて格好いいキャラたちを半笑いで見送る32歳の私とウサギであった。
つづく