ウサギと行く東京ディズニーシー②〜さらってきた三つ編みと爺様の強欲〜
腹を満たした我々はふらふらとプロメテウス火山の麓へ歩みを進めた。
そこにはフォートレスエクスプローションという大航海時代の要塞があった。その緻密な作り込みはものすごくしょうもない凡庸な表現で言い表せば、かの時代に「タイムスリップしたみたい〜」である。
埠頭に行くとガリオン船「ルネサンス号」が停泊していた。
乗船すると我々以外誰もいないマリーセレスト号状態であった(朝は空いている)。
三基の大砲は導火線を引っ張ると発射することができる、欲を言うならば水面に水しぶきが上がるようなギミックも欲しいところ。
船内を探索すると、船長の部屋や、乗組員の寝台など緻密に作り込まれていて嬉しい。とくに台所が素敵だ、大航海時代の船の厨房…
吊り下げられた塩漬け豚…
大きな手打ち鍋…
無駄にでかい包丁…
狭さ…
そのどれもが男心をくすぐる。「どこかからさらってきた三つ編みの女の子にシチューを作ってもらいたいな」とウサギが物騒なことをつぶやいていた。
アトラクションに乗らずともこういった細かい作り込みをみているだけで楽しめる、それもまたディズニーシーの魅力かもしれない。
ちなみにこのルネサンス号には時々、ジャック・スパロウ船長も出没するので要チェックだ。
そんなことを考えながらふとウサギを見ると、どこで買ってきたのか両手にターキーレッグを持ってムシャムシャやっていた、さっき朝飯を食べたばかりだというのにどうしようもない毛玉野郎だ。
そのあと、人気アトラクション、「センター・オブ・ジ・アース」のファストパスを取ってから、もう一度アメリカン・ウォーター・フロントに舞い戻り朝一に取得したファストパスを使って「タワー・オブ・テラー」に入った。
ここはもともとはハイタワー三世という名の骨董好きの爺様の所有するホテルだったが、その爺様がとある部族から強奪してきたシリキ・ウトゥンドゥという偶像の呪いによって、ホテルのエレベーターとともにこの世から消失、今では呪いのホテルとして観光地化されているとのこと。
ハイタワー三世の書斎では、ステンドグラスに描かれたアニメーションで事のあらましが説明され、シリキ・ウトゥンドゥが覚醒、魔法によって像が消失するのだが、その時はまわりの人たちの反応を見て楽しむ。
「下に落ちただけだよ」としたり顔で話すカップル…
「どうなってるの…」と本当に信じられないものを見た目をしている地方の修学旅行生…
半笑いの中年…
そもそも像に興味がない女子(呪われるぞ)、十人十色である。
そして、ホテルの倉庫を経て、いよいよエレベーターに乗り込む。
偶像の呪いパワーによって、高所から一気に落下したり、一気に昇ったりを繰り返す、つかの間の無重力状態を楽しめる。
ウサギの口から「ギッ」という奇妙な絶叫が漏れ聞こえた気がしたが、すぐに女子高生の甲高い叫び声にかき消されてしまった。
つづく