「ウサギと行く横浜・八景島日帰りの旅⑧~万葉倶楽部来訪期、露天風呂と足湯編~」
しばらくして、私とウサギは露天風呂に出てみた。
サウナで火照った身体を外気浴によって冷ますのもまた一興なのである。
外の柵から見下ろすと、はたして絶景であった。新港埠頭から横浜ベイブリッジまで見渡す事が出来たし、下に目を移すとカップヌードルミュージアムパークをカップルたちが歩いている。まさかカップルたちもビルの上の方から全裸の男とウサギに凝視されているとは思うまい。
身体がすっかり冷めると露天湯をいろいろと試してみる、ここの露天風呂はすべて《古来より名湯として知られる「熱海温泉」と「湯河原温泉」の源泉から毎日タンクローリーで運ばれてきたものです。》らしい、長距離運転のドライバーさんへの感謝を心に抱きつつ、円形に作られたひのき風呂に入ってみる。
折しも我々以外誰も入っておらず、ウサギと私で占領することができた。
眼下にひろがる絶景と、ひのきの芳しい香りも相まってとても気持ちが良い。
平日の午後にこんな贅沢が許されていいのだろうか…
この贅沢さはまるで太閤さん。
小田原征伐を終えた秀吉のそれだった。その後、試しに低温ドライサウナに入ってみる、ここにもテレビがあって素晴らしい。しかし、せっかちな江戸っ子気質(栃木出身)の私にとってはやはりもの足りなく、すぐに高温のサウナに引き返した。
十分にサウナと風呂を堪能した我々は館内着である作務衣に着替えると、万葉倶楽部のなかを探索することにした。
4階から屋上の9階までに渡って、マッサージコーナーや食事処、リラックスルーム、ゲームコーナーなどがある。上下を使った構造が「千と千尋の神隠し」の油屋に似てなくもない。
エレベーターに乗ると床が畳で出来ている、畳床のエレベーターに乗るのは人生で初めてのことだったので嬉しい。裸足で乗るエレベーターの背徳感はなんであろうか。
6階のお食事処は広々としているし、サラダバー的なものもあるしでいかにも快適そうだ。普通ここで風呂上りのビール、となるのだろうが私は寝る前しか酒は飲まないし、風呂上りは冷たい飲み物であればなんでもいい。水でも、お茶でも、コーラでも緑茶でもなんでもいいのだ。
結局、万葉倶楽部で私が口にしたものは無料のアルカリイオン水のみだった。倶楽部側から見たらかなり厄介な客であろう。
8階に上がるとそこはゲームコーナー、神社で催された縁日を意識したこのコーナーは様々なゲームが設置されて賑やかだった。卓球台もある。
一応、ぐるっと一周回ってみたが一銭も使わなかった…。いつからだろう、ゲームセンターにときめかなくなったのは…。
8階から階段で9階に上がると、そこは屋上テラスになっていてぐるりと円形に足湯になっていた。港や観覧車が見渡せて素敵だ。
普段は足湯になんの興味のない私もせっかくなので素足を湯に浸してみる、体は外気で寒いのに足だけ暖かい、このアンバランスさが楽しい。しかし、ふと周囲を見るとほとんどの利用客がカップルなのに驚かされた、恐るべし、バレンタインの前日(2月13日の旅行でした)。
ふと、隣に座ったウサギを見ると足が足湯に届いていなかった。
そのあと、再び浴室に戻って再びサウナと水風呂を十分に楽しんだ我々は万葉倶楽部をあとにした。
大人2500円。
それだけ払う価値のあるスーパー銭湯であった。
つづく