「ウサギと行く東京ディズニーランド⑨~疑惑のピノキオと落ちてくる花火~」
19時、それから私たちはなんとなくファンタジーランド方面に足を運んだ。
「ピノキオの冒険旅行」が待ち時間5分だったので乗ってみる。木でできた可愛らしいトロッコに乗って進むが、楽しいシーンは一瞬で終わり、あとは人さらいやらロバに変えられた子供たちやら、暗いシーンが続く意外と怖いアトラクション(白雪姫ほどではないが)。
しかし、終盤にブルーフェアリーが現れるシーンでは感動して涙が…、と、思いきや私は気づいてしまった。起き上がったピノキオの足をよく見ると人形の足のままで、人間になっていないという事実に…。
映画では確か人間になれたはずなのに、なぜ、アトラクションではピノキオは人形のままなのか…。「どうしてアトラクションのピノキオは人間になれないのか…人間の心だけが手に入ったということか…それとも、延々と同じルートを行き来するあのアトラクションの悲しい定めを…」と、降車後に熱くウサギに話してかけていたら「そんなことをいちいち気にしてるから結婚できないんだよ」と言われ、愕然となりその場でロバになってしまいたくなった。
ほとんどの目的を達成して、なんとなくダラダラした雰囲気の私とウサギ。ウサギがどうしてもパンプキン味のソフトクリーム(現在は売ってません)が食べたいと言うので、スプラッシュマウンテンの脇にある「ラケッティのラクーンサルーン」を訪れた。
なんでもここの店主のアライグマは密造酒作りから足を洗ってこの店を構えたらしい。アルコール類は置いてはいないが、カウンターの奥を覗くと密造器具と思わしきものが棚に並んでいて、今でも何かしらを密造しているような気がしてならない。
店の近くにある広場のようなところでパンプキンソフトクリームに舌鼓、わざとらしい感じのカボチャフレーバーが鼻に付くが、疲れた体に甘い物が嬉しい。
ウサギはソフトクリーム片手にクリッターカントリーの住民たちの足跡のチェックに余念がない、私は私でさっきの「ピノキオ問題」について考えを巡らせていた。
二人でダラダラしていると、突然キャストの方に声を掛けられた「すみません、こちらのエリアは花火の落下物が落ちてくる可能性があるため移動していただけますか」とのこと。
それに伴ってか「スプラッシュマウンテン」も運営を中止していた。風向き次第でそんなこともあるのかと変に感心してしまった。クリッターカントリーに住むたくさんの小動物たちもどこかに避難しているのだろうか、アライグマのラケッティはちゃんと逃げられただろうか…。
落下物の落下を恐れた我々はそそくさとクリッターカントリーを後にした。
つづく