「ウサギと行く東京ディズニーランド④~白人の笑顔と無呼吸ブーツ~」
ホーンテッドマンションを出た頃には時刻は12時。
喉が渇いた私たちはアイスコーヒーを買い、ベンチで飲んだ。こうして次はどこへ行こうか考えあぐねる時間というのもディズニーランドの醍醐味の一つだろう。友人や恋人と来ると気を遣い、あまり自由に振る舞えないが連れが獣なら思いの儘に行動できるというもの。
それから私たちはトムソーヤ島いかだに乗り込むとアメリカ河に浮かぶ孤島「トムソーヤ島」に向かった。
いわゆるライド形式のアトラクションではないため、自分のペースで色々見て回れるのが楽しい。また、「トムソーヤ島冒険マップ」なる地図を貰い、それを見ながら冒険するのも乙なもの。気分はトムソーヤというより「宝島」のジョン・シルバーとジム少年である。
童心に帰った私たちは樽橋や吊り橋を激しいバイブレーションで揺らしてみたり、小川に手を突っ込んでみたり、洞窟で金貨を発見したり、ドクロ岩から飛び出す水にはしゃいだりした。
子供も楽しいが意外と大人も楽しめるのがトムソーヤ島。現にインディアンキャンプでは初老の白人男性がキラキラした笑顔で記念撮影していた。あれはやはり先住民を制圧した過去を持つ遺伝子の為せる笑顔なのだろうか…。
サムクレメンズ砦の中を覗くと、保安官詰所があり、さらに奥の方を見るとベッドから足がはみ出しており高いびきが聞こえる。
どうやら保安官はかなり暇なようだ。ときどきいびきがつっかえて、足がピクリと動くところを見ると無呼吸症候群なんじゃないかと心配になる。どんな人が寝ているのかとても気になる。「ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセルみたいな人だったら嬉しい。
一通り見て回り、私たちは再びいかだに乗り、トムソーヤ島を後にした。
船着場の壁を何気なく見てみると、ペンキが塗りかけになっていて「Gone Fishin Tom Becky」と書き殴ってあった。まるでさっきまでトムとベッキーがペンキ塗りをしていたかのようで嬉しい。
アメリカのトムソーヤ島はリニューアルされて今や「パイレーツオブカリビアン」の世界に変わってしまったと聞く、東京のトムソーヤ島はいつまでもトムソーヤの島であってほしいものだ…。それとも最近の子供は「トムソーヤの冒険」なんて読まないのだろうか…。
つづく
- 作者: マークトウェイン,T.W.ウィリアムズ ,Mark Twain,石井桃子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/10/18
- メディア: 単行本
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