「ウサギと行く4泊5日広島旅行~4日目「離脱ウサギとレモン牛乳がぶ飲み甲子園」~」
この日は朝から平和記念公園を訪れ、祈りを捧げた。
そのあと、広島平和記念資料館も訪ねた。数々の遺品の無言の訴えに戦慄する。
どんな理由があろうともあの行為は正当化してはならないと感じた。
ハリウッド映画なんかでよく登場人物が「ヒロシマの◯倍の威力だ」と軽々しく言うけど、そのときに心に浮かぶ苛立ちの正体が分かったような気がした。
資料館を出たところで時刻は10時、正直、広島で行きたいところはすべからく行ったし、外は相変わらず長居を拒むような暑さ発揮している。
「ちょっと…、行ってくるから」とウサギはどこで知り合ったのか外来種のメスのウサギと広島の繁華街に消えていった。なんてナンパなウサギなんだ。
私はドトールで遅めの朝食を摂り(私はスタバよりタリーズよりなによりドトール派だ)、しばらく市街をブラブラしたのち、暑さに負けてさっさとホテルに戻り作画作業をしていた。
ライトテーブルを持ってきてほんとうによかったと心から思った。
なんとなくテレビをつけると甲子園、明徳義塾と作新学院の準決勝が行われていた。そして、作新学院が54年ぶりの決勝進出を決めた(その後優勝もした)。
テレビに映る作新球児たちも私と同じようにオリオン通りでクレープ食べたり、レモン牛乳をがぶ飲みしたりしているのだろうか、と思うとなんだか親近感が湧くというもの。
「さ~くしんのかぜ~」と一人懐かしの校歌を口ずさんでいると、ウサギが帰ってきた。その様子を見るをどうやらあのメスに振られたようだ。
ホテルで過ごす広島の夏はゆっくり過ぎていく。
私は動画作業、ウサギはブックオフで買ってきた中古の漫画に目を通している。
突然ウサギが「ジブリのキャラクターで嫁さんにするなら誰がいい」という中学の修学旅行でするような話題を持ちかけてきた。
私は手を止めずになんとなくその議題に乗った
「ナウシカは怒らせたら怖そうだし、シータは子供だし、菜穂子はいいお嫁さんだけどいかんせん病弱だから…、経済的観点からも共働きが可能な『崖の上のポニョ』のリサなんじゃないかな?」
「確かに性格もいいし、家事ができて運転できて、職も、持ち家もあるけど、子連れだぞ」とウサギ。
「そうか…子連れだとちょっと迷うかな」私は少し悩んでしまった。
ウサギは「僕なら断然、『紅の豚』のマダム・ジーナだな。未亡人だし、ホテルの経営者だし」と鼻息を荒げてまくし立てていた。
そんな実のない議論を交わす内に日はとっぷりと暮れていったのだった、その後「ほんとうにあった怖い話2016夏のスペシャル」(ひどい出来だった)を見ながら酒を呑み、早々眠りについた。
ところで帰宅したあと、最後の1日をほとんどホテルで過ごしていたと仕事関係のプロデューサーに話したら「地方に行ったら風俗とか行くだろ普通!」と信じられない様な顔して言われた。わからない、本当にそれが普通なのだろうか…。