「バードケージ」
「卒業」のマイク・ニコルズ監督による1996年公開のコメディ映画。当時11歳だった私も劇場で見て大笑いした記憶が残る、一種の思い出の映画だ。
マイアミでオカマナイトクラブ「バードケージ」を経営しているアーマンドと、店の花形スターであるアルバートは長年連れ添ったゲイカップル。アーマンドには昔付き合ってた女との間に出来た一人息子ヴァルがおり、アルバートと二人で父母のように大切に育ててきた。ある日、ヴァルは恋人と結婚すると宣言する。しかも、その恋人の両親は保守派の議員だという…。二人の結婚を成功させるため、アーマンドたちは普通の家庭を装うが…。
いま社会問題になっている性的マイノリティー「LGBT」の抱える問題を主題にしながらも、全編通して明るくて楽しいのが良い。
ゲイな人々が普段の姿を偽ってノンケの振りをする姿が子供の頃は単純に面白くて仕方なかったが、大人になった今見ると、生まれ持った性質を社会的に秘匿せざるをえない現代が抱える問題点が垣間見えて考えさせられる。
アルバートの「あたしはあたし、前と同じよ。小さな違いがあるだけなの」という何気ないセリフに全てが注ぎ込まれているように感じる。
そういえば子供の頃はスープ皿に描かれた「裸の男たちが並んでる絵」がどういう意味なのかちょっとわからなかったっけ…。
なにより女よりも女性らしいアルバートを演じたネイサン・レインと、彼女(彼)を心の底から愛しているアーマンド役のロビン・ウィリアムズの優しい眼差しが素晴らしい映画だった。
実はこの記事を書いたのはオーランドのゲイクラブでの銃乱射事件が起きる一ヶ月ほど前です(予約投稿というやつです)、どうして人の命を簡単に奪い去ることができるのか理解に苦しみます。
ほんとうにいやなもんです。