「レヴェナント」
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督による西部開拓時代を舞台にした映画。レオナルド・ディカプリオが悲願のアカデミー賞男優賞を受賞したことで有名だが、監督賞、撮影賞なども受賞している。
1823年の西部開拓時代のアメリカ、毛皮を求める狩猟団は原住民の襲撃に遭い、半数を失う。メンバーの一人ヒュー・グラスはネイティブ・アメリカンの妻との忘れ形見である息子のホークと共にガイドとして同行していた。一行は極寒の山越えをして砦への帰還を果たそうとするが…。
アメリカ北西部の広大な風景を自然光で捉えた映像が兎にも角にも美しい。そして、そんな美しい景色に挟み込まれるように人間たちの過酷な営み、生きるための殺し合いが描き出される。
ハードな映画だ。
意固地なまでにカットを割らない演出によって臨場感を増し、画面に緊張感を与えている。何処から飛来するネイティブ・アメリカンの矢がこんなに怖い映画はないだろうし、こんなにポップコーンを食べずらい映画もなかなかない。スクリーンから寒さ、獣の匂い、火薬の匂い、焚き火の頼りない暖かさが伝わってきそうだった。
前述のとおりアカデミー賞を受賞したレオナルド・ディカプリオの熱演もさるもので、ヒグマに襲われるは、滝から落ちるは、崖から落ちるは…、生きるためにはなんでもするグラスの役作りは完璧であったが、その頑丈さにちょっとだけリアリティが薄れてしまう。
いずれにせよ、なんでもかんでもグリーンバックで撮影する昨今のハリウッド映画と違い、ロケにこだわり、本物の生肉を喰らい、極寒の雪原に身を投じる。ストイックな内容の映画をストイックに撮影し、完成させた監督に敬意を払いたい。
↓個人的に思う、日本のサバイバル漫画の傑作はこれ。生きるためならなんでも食べる!
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