豊島園「庭の湯」体験記〜後半〜
そんな天井にぶら下がった桶に後ろ髪を引かれながら、次に私が向かったのは更衣室。
ロッカーから私が引きずり出したのはなんか椰子の木のようなものが印刷された水着。そう、ここ「庭の湯」には全裸で入る温浴ゾーンと、水着を着用して入る「バーデゾーン」の二つのゾーンに分かれていて、水着さえあればバーデゾーンも楽しめるのだ。
しかし、夏だろうが海はおろかプールさえ行かないキューライスにとってこの水着を着るのは4年ぶりのこと。水着から「相変わらず色白ですね」という溜息が聞こえてきそうだった。
水着を着用し、恐る恐るバーデゾーンに入った。
円形に象られた温水浴槽、ガラス張りの壁面からは燦々と陽の光が注ぎ込み気持ち良い。身体に負担をかけずに、健康作りが出来るプール、それが「バーデ」、ドイツ語で「水遊び」とか「温泉」という意味らしい。
プールのようだが泳ぎ回ることは禁じられており、ゆっくり水中を歩いたり、勢い良く噴射される水流で身体を刺激したり、インストラクターさんの動きを真似てエクササイズするのが慣わしのようだ。
どうでもいいことだけど、私は半身を水に浸けてゆっくり歩くと脳内にゴジラのテーマが流れることに気づく。自然と手の位置も怪獣王のそれにならざるを得ないというもの。
野外に出てみるとジャグジーと日本庭園、そしてログハウス風のサウナがあった。とくに温泉ジャグジーは気持ちが良かった、琥珀色の湯色がジャグられて泡立ち、そこに陽の光が降り注ぎ込まれるとまるでビールに浸かっているような心持ちだった。ビールはそんなに好きではないが。
屋外サウナに入ってみるも、ここにもテレビはなかった、それにバーデゾーンに水風呂は備え付けられてなかったので早々に退散。
再び屋内のバーデゾーンに入るとスチームサウナを発見。入室してみると窓からバーデゾーンの様子も見れて開放感がある、陽の光が柔らかく入り込み軽やかな印象、人もめったに訪れず貸切状態を楽しめた。
スチームサウナに独りきりだと歌が飛び出すキューライス。鈴木清順監督の「殺しの烙印」のオープニング曲「殺しのブルース」を朗々と歌い、軽く汗を流した。
そして、スチームサウナを出るとすぐそこに愛しのオケシャワー二号機があった。まさか、バーデゾーンにもオケられてるなんてナイス桶!と嬉しくなり、何度も何度も桶った。
その後、二階の休憩ゾーンで仕事の企画コンテをやっつけて、二度目の入浴をしたのち「庭の湯」をあとにした。
オケシャワーがときどき恋しくなるが、サウナにテレビがないのでなかなか足を運ぶことはないかもしれない。
ありがとう、庭の湯。
ありがとう、オケシャワー。