ジョン・ウィック
数々の映画でスタントコーディネーターを手がけたというチャド・スタエルスキーの初監督作品。
かつて裏社会で名を轟かせた凄腕の殺し屋ジョン・ウィックは結婚を機に引退。しかし、最愛の妻を病で亡くしてしまう、妻の遺した犬と平穏な生活を送っていたジョンだったが、ある日、ロシアンマフィアの若造に愛犬を殺されてしまう…。そしてジョンはマフィアへの復讐を誓うのだった…。
愛犬を殺された伝説の殺し屋が復帰し、マフィア共を皆殺しにする…、なんて中二心くすぐるプロットなんだろう…、殺し屋映画マニアだった中学生の私だったら諸手をあげて映画館に駆け込んだところだが、犬が殺されるシーンを見たくなかったのでレンタルで鑑賞(殺されるシーンは早送り)。
カンフーとガンアクションを合体させたガンフーアクションが格好良い、遠距離から発砲するのではなく近距離から殴るように銃を撃ち込むのだ。
しかし、少々物足りなかったのは伝説の殺し屋の割にジョンが苦戦を強いられる点、ハラハラ感なんていらないから憎たらしいマフィアをなぎ払うように倒して欲しかった。そう、セガールのように…。
乱闘シーンもどうせなら「キングスマン」の教会での立ち回りくらい思い切った立ち回りでもよかったかのしれない。ガラハッドとジョン・ウィックを比べるとどうしてもガラハッドのほうが強そうに見えてしまった。ガラハッドは殺し屋ではなく諜報部員だが…。
やはり映画界最強の殺し屋は「ノーカントリー」に登場するアントン・シガーだろう…、強さ、頑丈さ、キャラクター性、すべてのパラメーターが最高だ。
しかし、そんなことよりも短編アニメ好きの人間は別のあるシーンにドキっとするだろう。
ロシアンマフィアの親玉がジョンの家に手下を送り込むシーン。その親玉はロシアの古い子守唄を呟くのだが、それが超巨匠ユーリ・ノルシュテイン監督の名作「話の話」で、狼の仔がつぶやく子守唄「BAYU BAYUSHKI BAYU」なのだ。
懐かしい友人ばったり道で出くわしたようで妙に嬉しかった。
…まあ、そもそもノルシュテインの映画が好きなような人は「ジョン・ウィック」みたいな30分後にはどんな映画だったか思い出せないような映画はお口に合わないだろうが…。
↓そろそろBlu-rayにならないのか…