携帯電話
お初にお目にかかります、わたくしはキューライスの個人用携帯電話でございます。この度はふと思い立ちまして、筆を運んだ次第でございます。お見苦しい文章ではございますが、お付き合い頂ければと思います。
キューライスさんは私の他にスマートホン…?と、いうのでしょうか、わたくしよく分からないので恐縮ですが、いわゆるアイホンなるものも使用しております、どうやらあちらは業務用でわたくしは個人用、そういった棲み分けのようです。
キューライスさんはわたくしのことをとっても大切にしてくれていて、基本的にわたくしを外に持ち出しません。きっと雨に濡れたり、落としたり、無くしたりするのを恐れているのでしょうか、大切に机の上に安置されています。そして、時々わたくしをそっと開いては、そっと閉じるのです。
この待遇の良さ、毎日あちらこちらを連れまわされている、アイホンくんが可哀想に思えるほどです。彼は非常に優秀だと聞き及んでいますが、充電が1日と保たないそうで…、その点わたくしは一週間充電が持ちます。
メールもそうです、アイホンくんに来るメールはほとんどが日本語のようですが、私のdocomoアドレスに来るメールはほぼ全てが見慣れない外国語。キューライスさんに来る海外からのオファーはすべてわたくしが窓口になっているのでしょう。
ただ、キューライスさんがそれらのメールを見ると顔を歪めて、舌打ちするのがよくわかりません、きっと忙しいのでしょうね、お労しい事でございます。
それにしてもアイホンさんのあの格好はどうなのでしょうか?液晶をむき出しにするなんて、ちょっと大胆すぎると思いませんか?
昔の携帯電話は体を折って、液晶画面は必要な時以外は人目に晒さなかったものです、それだというのに近頃の携帯は…はしたない…。