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キューライス。

1985年生まれの男。漫画、イラスト、アニメーションなどを描きます。ご質問、ご依頼はこちらのアドレスにどうぞqraisqrais@gmail.com。       キューライス制作の短編アニメーション「鴨が好き」公開中https://www.youtube.com/watch?v=48-RA4BNXVc

短編アニメーション「鴨が好き」

気がつけば1年以上もかかってしまいましたが、新作の短編アニメーション「鴨が好き」が完成しました。

7分40秒、今回もいつも通り、すべての工程を私一人で行いました。

 

アニメーションに限らず映像を作る際は絵コンテという設計図が重要なのですが、今回は初めて絵コンテやレイアウトを一切書かずに制作しました。

動画作業の際は、まるで紙の上を散歩するようでとても楽しい作業となりましたが、それ以降の作業は混乱を極めました。

是非、観て頂き、また、よろしければ拡散して頂けたら幸いです。

www.youtube.com

次もっと短くてくだらないアニメーションを作る予定です。

ちゃんと絵コンテ書いてから…。

「ウサギと行く横浜・八景島日帰りの旅⑨~聖地巡礼はウサギの慟哭に消ゆ~」

火照った体を浜風に冷ましながら我々は最後の目的地、日の出町に向かった。

 

あまちゃん」も「半沢直樹」も、一秒たりとも見たことがない私とウサギが唯一見るテレビドラマが「孤独のグルメ」。

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中年の男がただただ美味そうに飯を食べるだけのドラマだが、今ではBlu-rayボックスを全巻揃えているほどハマっている。

そのシーズン3に登場する台湾料理屋「第一亭」、そこの「パタン」という料理をどうしても一度食べてみたいのだ。

見た限り中華麺をごま油とともに大量の生にんにくで炒めただけの料理のようにみえるが、その限りなくシンプルな外観と、「明後日までニンニクが残っちゃうよ」という登場人物のセリフとが相まって、ずっと気になっていた。

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もう、日も落ちてあたりは暗くなっていた。日ノ出町駅を降りるとまっすぐに「第一亭」を目指す、地図は頭に入れてあるし、この日が営業日であることもきちんと確認してある。

そう、万葉倶楽部で何も食べなかったのはここでの食事をより美味しくしようという目論見があってのことだったのだ。

 

ホルモンも食べよう、餃子も食べよう…、

 

期待値は今臨界点を突破しつつある…。

 

自然と早歩きになる私達。

 

駅からすぐのところに憧れの第一亭はあった…、

 

そして、こんな張り紙が貼ってあった

 

「本日休業いたします」

 

 

 

 

 

 

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膝から崩れ落ちて慟哭するウサギの背中を、私は黙って見ていることしか出来なかった。どこからか映画「八甲田山」のテーマ曲が聞こえてきたような気がした。

また、横浜に来ることがあったらそのときこそ「パタン」を食べよう。そう心に決めて我々は帰路に着いた。

 

最後の最後で奈落に突き落とされる、そんな日帰りの旅であった…。

 

 

孤独のグルメ Season3 DVD-BOX
 

 

「ウサギと行く横浜・八景島日帰りの旅⑧~万葉倶楽部来訪期、露天風呂と足湯編~」

しばらくして、私とウサギは露天風呂に出てみた。

サウナで火照った身体を外気浴によって冷ますのもまた一興なのである。

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外の柵から見下ろすと、はたして絶景であった。新港埠頭から横浜ベイブリッジまで見渡す事が出来たし、下に目を移すとカップヌードルミュージアムパークをカップルたちが歩いている。まさかカップルたちもビルの上の方から全裸の男とウサギに凝視されているとは思うまい。

 

身体がすっかり冷めると露天湯をいろいろと試してみる、ここの露天風呂はすべて《古来より名湯として知られる「熱海温泉」と「湯河原温泉」の源泉から毎日タンクローリーで運ばれてきたものです。》らしい、長距離運転のドライバーさんへの感謝を心に抱きつつ、円形に作られたひのき風呂に入ってみる。

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折しも我々以外誰も入っておらず、ウサギと私で占領することができた。

眼下にひろがる絶景と、ひのきの芳しい香りも相まってとても気持ちが良い。

 

平日の午後にこんな贅沢が許されていいのだろうか…

この贅沢さはまるで太閤さん

小田原征伐を終えた秀吉のそれだった。その後、試しに低温ドライサウナに入ってみる、ここにもテレビがあって素晴らしい。しかし、せっかちな江戸っ子気質(栃木出身)の私にとってはやはりもの足りなく、すぐに高温のサウナに引き返した。

 

十分にサウナと風呂を堪能した我々は館内着である作務衣に着替えると、万葉倶楽部のなかを探索することにした。

 

4階から屋上の9階までに渡って、マッサージコーナーや食事処、リラックスルーム、ゲームコーナーなどがある。上下を使った構造が「千と千尋の神隠し」の油屋に似てなくもない。

エレベーターに乗ると床が畳で出来ている、畳床のエレベーターに乗るのは人生で初めてのことだったので嬉しい。裸足で乗るエレベーターの背徳感はなんであろうか。

 

6階のお食事処は広々としているし、サラダバー的なものもあるしでいかにも快適そうだ。普通ここで風呂上りのビール、となるのだろうが私は寝る前しか酒は飲まないし、風呂上りは冷たい飲み物であればなんでもいい。水でも、お茶でも、コーラでも緑茶でもなんでもいいのだ。

結局、万葉倶楽部で私が口にしたものは無料のアルカリイオン水のみだった。倶楽部側から見たらかなり厄介な客であろう。

 

8階に上がるとそこはゲームコーナー、神社で催された縁日を意識したこのコーナーは様々なゲームが設置されて賑やかだった。卓球台もある。

一応、ぐるっと一周回ってみたが一銭も使わなかった…。いつからだろう、ゲームセンターにときめかなくなったのは…。

 

8階から階段で9階に上がると、そこは屋上テラスになっていてぐるりと円形に足湯になっていた。港や観覧車が見渡せて素敵だ。

普段は足湯になんの興味のない私もせっかくなので素足を湯に浸してみる、体は外気で寒いのに足だけ暖かい、このアンバランスさが楽しい。しかし、ふと周囲を見るとほとんどの利用客がカップルなのに驚かされた、恐るべし、バレンタインの前日(2月13日の旅行でした)。

 

ふと、隣に座ったウサギを見ると足が足湯に届いていなかった

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そのあと、再び浴室に戻って再びサウナと水風呂を十分に楽しんだ我々は万葉倶楽部をあとにした。

大人2500円。

それだけ払う価値のあるスーパー銭湯であった。

www.manyo.co.jp

 

つづく

「ウサギと行く横浜・八景島日帰りの旅⑦~万葉倶楽部来訪期、サウナ編~」

みなとみらい駅から降りて五分の海沿いのビルにスーパー銭湯万葉倶楽部」はあった。

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エレベーターで7階に上がったところがフロント。平日の午後だというのにそこそこのお客さんで溢れている。

気もそぞろに鍵を受け取ると、館内着を取り、更衣室へ向かう。フェイスタオルやバスタオルは備え付けてあって、使いたい放題。気分はお大尽である

 

いけない、初対面のスーパー銭湯に心が舞い上がりすぎて己を見失っている、ささっと服を脱いだ私は掛け湯をしたのち、全裸で歯を磨く。歯を磨くことで未だクレープの甘さの残る口内をリセットし、ついでに心もリセットしようという算段なのだ。

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すっかり心を落ち着けた私はあらためて浴場を観察する。なかなか広々としているし、半円状にずらりと並んだ大窓からは外光が気持ち良く取り込まれていて軽やかな雰囲気、しかし、都内のスーパー銭湯にありがちなことだけどやっぱり天井はあまり高くなかった。

最近のスーパー銭湯はあまり重視していないようだけど、本来銭湯というものは天井が高くなくてはいけないと思うのだ。

そうこないと開放感が生まれないし、なによりあの漫画やアニメ特有の「かぽーん」というサウンドも聞こえてこないというものであろう。

 

私とウサギはさっそくサウナに洒落込む。

ここ万葉倶楽部では低温ドライサウナ、塩サウナ、ハーブスチームサウナ、ハーブサウナの四つのサウナが楽しめるのだ。私は一番温度の高いハーブサウナに入室した、ちょうどロウリュウサービスが行われている最中で、さっそく私とウサギも巨大な団扇で熱風を送ってもらった。

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以前訪れたラクーアの本格的なそれと比べると見劣りするものの、やはり汗をかく。タオルを使って扇ぐスタッフがなんどもスプリンクラーにタオルを引っ掛けていたのが妙に印象に残っている。

テレビも設置されていて一安心。サウナでテレビを眺めるに越した喜びはない(CMが楽しいのだ)、自分の限界が近づくとサウナを退室し、水風呂に向かう。

汗を手桶で流してから身を冷水に晒す(ちなみに汗を流さずに水風呂に入る輩は魂のレベルが低いと思う)、

 

気持ちいい…

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痺れるような快感が血管という血管から全身へ伝達していく。

しかし、水風呂を囲うように塀が立っていて少し閉塞感を感じるし、深さも足りない、普通といえば普通の水風呂といったところだろうか、やはりこれもラクーアの深々とした水風呂に軍配が上がるが、決して欲は出すまい。

平日の午後にサウナと水風呂に入れる、それだけで私は新品の外套を羽織ったアカーキイ・アカーキエウィッチのように幸福なのだから。

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その後、サウナと水風呂をなんども行き来する、熱しては冷ますの繰り返しはさながら刀鍛冶である。

喉が乾くとアルカリイオン水で喉を湿した。アルカリやイオンが何者でどういう事をするのか明確にはわからないが、何が良いってタダなのがいい。口を近づけて飲むタイプのウォーターサーバーでなはなく、紙コップで飲むタイプなのが軽い潔癖性の私としてはありがたい。ナイス気配り、万葉倶楽部

 

www.manyo.co.jp

 

 

つづく

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休憩コーナーです。こういうバカみたいなことを考えるのが好きです。まだ、ウサギとの旅行記は続きます。

「ウサギと行く横浜・八景島日帰りの旅⑥~クレープのやさしさ、じゃびゃくしんと私とうさぎ~」

「アイスファンタジア」の魔力で急に体温とテンションを奪われた我々はフラフラとその隣にあったマリオンクレープに立ち寄る。

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ここは一つクレープの優しさに慰められたいし、なによりこんな時でもないとクレープなんて口にする機会がない。

イチゴと生クリームだけの極めてシンプルなクレープを注文する、お値段は400円、奇しくもさっき入った冷蔵室と同じ値段だった。

近くのベンチに腰かけてクレープを食する。

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クレープ…

なんて祭日感の溢れる牧歌的な食べ物だろうか、どんな厳しい人間でもクレープを片手に持たせるだけですごく優しい人に見えてくるというものだ。

 

そして、美味い…。

 

イチゴと生クリームを超えるタッグがこの世にあるだろうか…。

私は思わず「純白の雪原にパッと咲く赤い鮮烈、クリームとイチゴの奏でるハーモニーはまるでスウィーツ界のゴールドベルグ変奏曲だ」とウサギの奴に熱く語ると、

さっきの冷蔵室に入りさえしなけりゃ、その変奏曲がもう一つ買えたのにな」と言われた。

まったくその通りだと思ったので、私は何の反論もできなかった。

 

クレープを平らげた我々は八景島シーパラダイスを後にして、再びシーサイドラインに乗り込んだ。そして、金沢八景駅まで戻ると、駅を降りて例の宝箱が置いてありそうな出島のある神社にふらりと立ち寄った。

 

瀬戸神社という名前の神社で、御祭神が大山祀神で、治承4年(1180年)に源頼朝が伊豆三島明神を勧請したのが始まりだそうだ。古びた社殿が素敵だ。

 

さっそく手水を済ませてお祈りをする、神社で私が祈ることは決まっていてそれは「家族の幸せと健康」それだけである。

ウサギの願い事は「宅配ピザが安くなりますように」だったそうだ、それは私も切にそう願う。

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蛇混柏(じゃびゃくしん)という延宝8年(1660年)8月に倒木しても今尚腐らず健在だという大木が境内に置かれていた、「じゃびゃくしん」、すごい名前だ。思わず口に出して「じゃびゃくしん」と言ってみる。

 

それに、なんとなくパワースポットっぽかったので、パワーを吸収したつもりになってみる、落語「だくだく」ではないが、人生、この「つもり」というのが何事も大切なのだ。

パワーもらったつもり、結婚したつもり、ハワイで挙式したつもり…、芝浦のタワーマンション買ったつもり…

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まんまとパワーせしめた私とウサギは京急電鉄に飛び乗ると、横浜に戻った。

 

横浜にあるというスーパー銭湯万葉倶楽部に足を運ぼうという魂胆なのである。

中華より夜景より野毛山動物園トリエンナーレよりも、私の心を高揚させるもの、それはサウナと水風呂と温泉なのである。

 

つづく

 

 

 

「ウサギと行く横浜・八景島日帰りの旅⑤~ぬっとりアシカとシロクマの忘れ物の真偽~」

素敵な海育体験を済ませた我々は残す最後のコーナー「ふれあいラグーン」へと向かう。文字通りここでは様々な海の仲間達に触ることができるのだ。

可愛い動物は取り敢えず触っておきたい私にとってはなかなか魅力あふれるコーナー。わきわきと私の右手も期待に震えている。

入場すると丁度アシカのレオ君に触れるコーナーが終わる寸前だった。我々は急いで手を洗うと子供達の中に加わって、そっとレオ君の背中を触れてみる。

 

ぬっとり」している。

 

微妙に温かいものがぬっとりとしている。

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手に残ったアシカの感触にじーんと感じ入る、幸せである。

その後、水槽に横たわるツチザメの背中を触ってみたり、日向ぼっこするアザラシを遠目から眺めてみたりしていた。しかし、イルカなどに触るためには受付で予約などが必要なようだったので諦めた、私はそういう手続きが好きではないのだ。

「やってる?」的な感じで暖簾をくぐって、ペロッと動物が触れたらいいのにとつくづく思う(ちゃんと手を洗って)。

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すべての水族館を堪能した我々はなんとなく行き場を失ってふらふらしていた、時刻は13時30分、さっきギンザケの唐揚げを食べたのであまりお腹は減っていない。

ふと、「氷の国 アイスファンタジア」なる小屋が目に入る。

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きっとまつ毛が凍ったり、バナナで釘が打てたり、映画「八甲田山」並みの寒さが味わえる施設に違いないと勘ぐる我々、さっそく400円払って入ってみることにした。

閑散とした平日である、お客はどうやら我々だけのようだった。

スタッフさんによると「この中のどこかにシロクマさんの忘れ物がありますのです、お一人様ひとつお持ち帰りください、その忘れ物の重さが本物の忘れ物と同じ重さなら景品が出ます」とのこと。

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手渡された本物の忘れ物の重さを必死で覚える。

本物の忘れ物ってどういうことなんだ?」という疑問は胸に留めて、さっそうと「氷の世界」に入場した。

 

 

…氷があった。

 

氷のブロックがなんとなく積まれている。

 

楽しげな半立体のシロクマが笑っていた。

 

寒さは…昔、研修で働いたスーパーの冷凍食品倉庫を思い出した。

つまり、そのくらいの寒さだった。さっきまで高かった我々のテンションが文字通り低下していくのを感じた。それでもウサギなぞは「このなかのどこかにシロクマ忘れ物があるはず!」と鼻をスンスンさせて平静を保っている。しかし、ためつすがめつ見渡してみてもあの茶色い巾着袋は転がっていなかった。

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10歩ほど歩いたらそこはもう出口だった。

そして、折りたたみテーブルの上に大量のシロクマの忘れ物が放置されていた。

私はその中から記憶の重さと照らし合せながら一つの巾着袋を選び出した。

出口兼入り口のさっきのスタッフさんに袋を渡すと正解の忘れ物と私の持って来た忘れ物を天秤にかけた、我々の持って来た忘れ物は本物の忘れ物より一寸軽かったようだ。「ざんね~ん」と店員のお兄さんに言い放たれた。

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